*写真はイメージです。
先日、痴呆の症状がある高齢の姉妹二人から、リフォーム代をだまし取った悪質な業者に対し、市が姉妹に代わって業者を訴える、というニュースが流れました。
業者らは、姉妹に判断能力が欠けていることをいいことに、必要のないリフォーム工事を信じられない高額で行って次々に請求。何千万円もの借金を負った姉妹の家が、やむなく競売にかけられる、という事態になってしまいました。
本来なら、だまされた本人が業者を訴えるべきなのですが、なにしろ姉妹は、認知症という痴呆の一種である上、とても人柄がいい。だから、自分たちが騙されたという自覚がありません。
そこで登場したのが「成年後見人制度」。市はこの制度を使って、姉妹の身代わりとして弁護士を立て、業者を訴えようとしています。
ところで「成年後見人制度」って、初めて聞かれた方も多いのではないでしょうか。
この制度は、けっこう以前からありました。私が消費者問題の記者をやっている5年くらい前には、もう話題になっていた制度です。
制度を分かりやすくいうと、痴呆になって判断能力が落ちてしまった人や、知的障害があるために適切な判断ができない人の代わりに、代理人がさまざまな法的手続きをしよう、というものです。判断能力に欠けた人を食い物にする悪質な商売人から彼らを守る、という目的があります。
制度に対しては、いろんな議論がありました。
・ 後見人となった人が、その立場を悪用して、財産などを横取りする可能性があるのではないか?
・ 家族の思惑によって、きちんと判断力がある高齢者に制度が適用されてしまい、自分では何の契約もできなくされてしまう、というケースが生じないか?
など。
でも、今回の姉妹のケースでは、制度が正しく使われるようで、何だかホッとしています。
■人ごとじゃありません
山陰のみなさん、この姉妹のケース、人ごとではありませんよ。怖がらせるつもりはないんですけど、山陰は日本有数の高齢者地域。高齢者をねらう悪質業者が後を絶たない現状を見ると、まじめに考えた方がいいな、と思います。
一ヶ月くらい前、実家のおばあちゃんがテレビに出ました。関口宏の息子さん、関口知宏さんが、ローカル線を旅するというNHKの番組「列島縦断 鉄道乗りつくしの旅(4月1日分」です。
その日の放映は、ほんとは亀嵩がメインだったのに、うちのおばあちゃんが映っていた時間の方が長かった(笑)。96歳という高齢で、いまだに畑に出て作業している姿、ちょっと天然ボケが入っているキャラが面白かったのでしょうか。
畑で関口宏の息子さんと出会ったおばあちゃんは、「まあお茶でも飲みんさいや」という田舎の年寄りのノリで、彼を自宅に連れてきたわけですが、玄関口で若い男性と話しているおばあちゃんの声を聞いて、うちの母は最初、こう思ったそうです。
「あれ!?また変な業者がきて、おばあちゃんに何か買わせようとしているんではないか」
つまりこれが、田舎の現実です。
ほんとに多いんです。お年寄りと楽しそうに会話し、あげくの果てに高いものを買わせる業者。「契約」というものに対して認識の薄い高齢者は、その場の雰囲気でホイホイものを買ってしまい、あとで家族に「なんでこんな高いものを買ってしまったの?」と追求され、初めて問題が明るみに出ます。
↑国民生活センター発行の本です。契約や消費者トラブルについて
解説してある、消費者の必読書です。
一家に一冊あると、困ったことが起こったときに役立ちますよ。
だからって、年寄りにはとにかく成年後見人制度を適用すればいいんだ、というのは少々危険です。お年寄りも1人の人間。その意志は、尊重されなくちゃなりません。
でも、痴呆などによって、何が何だか分からなくなっている、という状態なら、成年後見人制度のことを考えた方がいいかもしれません。とても悲しいことですが、お年寄りからお金をむしり取ろうという人がいるのは、事実です。
「契約」というのは、例え口約束でも成立してしまうもの。
「これ、1万円で買ってくれる?」
「うん、いいよ」
この時点で、契約成立です。あれは口約束で、別に書面を交わしたわけではない、と言っても、あなたは「うん」と言った以上、1万円払わなきゃなりません。
もっとも、現実の生活の中では、口約束は話半分、という観念が行き渡ってますから、「ごめん、あのときはうんっていったけど、やっぱり取り消したい」と言えば、親しき仲なら取り消してくれる場合が多いです。
しかし、もし悪質業者の話術にのって、買うつもりのないものに思わず「買う」と言ってしまったら…。
わたしは、人が10人いたら、9人までは「いい人」だと思います。残る1人が悪いことをしたとしても、あとの9人で弱い人を助けたり守ってあげられるといいな、と思います。そのためのひとつの手段が「成年後見人制度」です。
記事by ともとも
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